英語をやり直すなら何から?|40代・50代が遠回りしないための順番

2026.03.13
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「英語をやり直したい。でも、何から始めればいいのかわからない」ここで止まっている人は、たぶん想像よりずっと多い。情報がないから動けないのではありません。むしろ逆です。書店の英語コーナーには教材が並び、無料のアプリは数えきれず、YouTubeにも講座があふれている。多すぎて、どれを選んでも「これで合っているのか」がわからない。だから動けない。

それでも、たいていの人は一度だけ動きます。とりあえず単語帳を買う。とりあえずアプリを入れる。最初の3日は開く。1週間で間があく。3週間後、単語帳は本棚に戻り、アプリはホーム画面の2ページ目にいる。

そして「やっぱり自分には続かない」と結論を出す。

でも、続かなかったのは意志の問題ではありません。始める順番が違っただけです。

この記事では、40代・50代が英語をやり直すときの順番を、6か月ぶんの流れとして具体的に示します。魔法の近道はありません。ただし、多くの人が最初に踏んでしまう遠回りは、はっきり削れます。

やり直しが続かない人に共通する、3つのこと

① 教材から入っている

やり直しを決めた日に、まず本屋へ行く。これがいちばん多い入り方です。

そして起きるのが「1冊目の壁」です。買った本は悪くない。でも、なぜその本なのかを自分で説明できない。だから3日目に「もっといい本があるかも」と思い、2冊目を買う。2冊目も途中で止まる。

教材は道具です。道具は、何を作るか決まってから選ぶもの。作るものが決まっていない状態で工具売り場に行くと、いちばん立派なものを買って、そのまま置くことになります。

② ゴールが「英語ができるようになる」になっている

これはゴールではありません。方角です。

「英語ができる」には終わりがない。TOEICが600点になれば700点が見え、700点になれば「でも話せない」が来る。話せるようになれば「でも書けない」が来る。どこまで行っても、自分より上がいる。

終わりのないものを目標に置くと、進んでいても進んだ実感が出ません。実感が出ないものは、続きません。

③ 成果が、自分にしか見えない

単語を50個覚えた。参考書を半分まで進めた。それは確かに前進です。でも、誰にも見えない。

40代・50代の学び直しがしんどくなりやすいのは、ここです。学生時代はテストがあり、点数が返ってきた。仕事では成果が数字や評価になって返ってくる。ところが英語のやり直しには、返ってくるものが何もない。

「頑張っているのに、何も変わっていない気がする」。この感覚が出てきたら、それは能力の問題ではなく、成果が外に出ていないだけです。

教材より先に決めること「受け取る英語」か「出す英語」か

順番の話をする前に、ひとつだけ分けてほしいものがあります。

英語には、大きく2つの方向があります。

受け取る英語 出す英語
やること 読む・聞く 書く・話す
教材 単語帳、リスニング、多読、TOEIC 作文、英語日記、英会話、コラム
手応え じわじわ。気づきにくい すぐ出る。ただし最初はへこむ
止まりやすさ 止まりやすい(誰にも見えないため) 止まりにくい(形が残るため)
必要な英語力 いくらでも上がある 中学英語+辞書で始められる

やり直しが止まる人のほとんどは、受け取る英語だけで半年を使っています。

単語帳、リスニング、TOEICの問題集。どれも「入れる」作業です。入れる作業は、入れた実感が出るまでに時間がかかる。しかも、入れたものを一度も出さないままだと、入っているのかどうかも確認できない。

逆に「出す英語」は、最初にはっきりへこみます。書こうとすると、知っているはずの単語が出てこない。中学レベルの文でも手が止まる。

でも、そのへこみには意味があります。何がわかっていないかが、その場で全部見える。受け取る英語ではぼんやりしていた自分の現在地が、書いた瞬間にはっきりする。

だから、順番はこうなります。受け取る英語を完成させてから出すのではなく、早い段階で「出す」を混ぜる。

正直に言うと、遠回りになりやすい入口

どれも悪い方法ではありません。ただ、やり直しの1歩目に置くと止まりやすい、という話です。

TOEICの問題集から始める

いちばん多い入口で、いちばん止まりやすい入口でもあります。

TOEICは「決まった答えを速く選ぶ」試験です。やり直しの初期にこれをやると、英語に触れている時間のほとんどが、消去法とタイムマネジメントの練習になります。

点数を出す必要がある人には有効です。ただ、目的が「英語を使えるようになりたい」なら、順番は後ろでいい。

オンライン英会話をいきなり始める

「使えば覚える」は本当です。ただし、出せるものがゼロの状態で25分の会話に入ると、多くの人は相手の質問に単語で答えるだけの25分になります。

それを週2回、3か月続けても、話せる内容は増えません。会話は、持っているものを出す場であって、持っていないものを作る場ではないからです。

先に「言いたいことを英語で組み立てられる状態」を作ってから入ると、同じ25分の中身がまるごと変わります。

洋書やペーパーバックの多読

読めるようになりたい人には正しい方法です。ただ、ブランクがある状態で1冊目を洋書にすると、辞書を引く回数が多すぎて、物語が頭に入りません。

読むなら、まずは短いもの。1回で読み切れる長さのものから。

6か月の順番

ここからが本題です。40代・50代が遠回りせずに進むなら、この順番になります。

1か月目|中学英語を「思い出す」のではなく「並べ直す」

遠回りに見えて、ここが最短ルートです。

ただし、やることは「中学の参考書を1冊やる」ではありません。それだと3日で飽きます。すでに一度習ったものだからです。

やるのは、散らかって入っているものを、使える形に並べ直す作業です。具体的には4つ。

  • SVO──英語は「誰が・どうする・何を」の順で必ず並ぶ。この1本の軸があるだけで、長い文が読めるようになります
  • 時制──過去・現在・未来、そして完了形。日本語は時間の表現があいまいでも通じますが、英語は通じません
  • 不定詞──「〜すること」「〜するために」。言いたいことの幅がここで一気に広がります
  • 和文和訳──いちばん大事なのがこれです

和文和訳というのは、日本語を英語にする前に、まず「英語にしやすい日本語」に置き換える作業のことです。

「最近、時間に追われてばかりで気持ちに余裕がない」

↓ そのまま英語にしようとすると詰まる

↓ まず日本語で言い換える

「私は忙しい。だから、私はリラックスできない。」

↓ これなら中学英語で書ける

I am very busy. So I cannot relax.

英語が出てこない原因の多くは、英語力ではなく、元の日本語が英語にしにくい形のままだということです。ここに気づくと、手が止まる回数が目に見えて減ります。

2か月目|型を1つだけ持つ

言いたいことがあるのに、書き始めると散らかる。これは英語の問題ではなく、順番の問題です。

型を1つ持つと解決します。おすすめはPREP法

P Point 結論を先に言う
R Reason 理由を言う
E Example 例をひとつ出す
P Point もう一度、結論

この4つに沿って並べるだけで、短い文しか書けなくても、読める文章になります。英語圏の文章は結論が先に来るのが基本なので、型としても自然です。

「PREP法 英語」で調べる人はまだ少ないのですが、日本語の文章術としては広く使われているものです。日本語で仕事の文章を書いてきた40代・50代にとっては、まったく新しい概念ではないはずです。

3か月目|長さを出す(起承転結)

PREPは短い主張に向いています。ただ、300語を超えるあたりから、PREPだけだと単調になります。

そこで、日本語で身についている起承転結を英語に持ち込みます。

意外に思われるかもしれませんが、日本文化や自分の経験について英語で書くとき、起承転結は強い武器になります。海外の読者にとって「結論が最後に来る話の運び」は、それ自体が新鮮だからです。

ここまで来ると、書けるものが「意見」から「話」に変わります。

4か月目|AIを、答え合わせではなく執筆パートナーにする

英語で書くことのハードルは、この数年で本当に下がりました。ただし、使い方を間違えると学びがゼロになります。

  • やってはいけない使い方──日本語を入れて、出てきた英語をそのまま使う。これは翻訳であって、自分の英語は1ミリも増えません
  • 効く使い方──自分で書いてから渡す。「もっと自然な言い方は?」「この単語とこの単語の違いは?」と聞く。直された箇所だけをメモする

自分で書いた英語が直される瞬間は、教材のどの説明より記憶に残ります。自分が間違えた場所だからです。

5か月目|「日本にいること」を材料に変える

ここが、40代・50代のやり直しでいちばん効くところです。

英語を書こうとすると、多くの人が「何を書けばいいかわからない」と言います。でも、書くことがないのではありません。自分の日常が、誰かにとって珍しいものだと気づいていないだけです。

電車で寝ている人がいること。玄関で靴を脱ぐこと。お弁当に彩りを気にすること。年末に大掃除をすること。「すみません」を1日に何度も言うこと。

どれも、日本の外から見ると説明が必要なものです。そして、それを説明できるのは、そこで暮らしている人だけです。

海外の読者が何を不思議に思うのかを調べながら、自分の日常から材料を拾う。この段階で、英語は「勉強するもの」から「伝えるための道具」に変わります。

6か月目|外に出す

最後は、書いたものを人が読める場所に置くことです。

ノートに書いて閉じるのと、公開するのとでは、まったく別のことが起きます。読まれる前提で書くと、語順も、単語の選び方も、締めくくり方も変わる。そして、返ってくるものがある。

ここまで来ると、やり直しの前と後で決定的に違うことがひとつあります。「英語をやっています」ではなく、「これを書きました」と言えるようになる。

年代で変わるのは、能力ではなく「時間」と「中身」

40代・50代・60代で、やり方そのものが変わるわけではありません。順番は同じです。変わるのは条件のほうです。

使える時間 強み つまずきやすい所
40代 いちばん少ない。仕事も家庭もピーク 体力と集中力が残っている。吸収が速い 時間が取れない日が続くと、そのまま止まる
50代 少しずつ戻ってくる 語れる経験の量。仕事でも生活でも中身が濃い 「今さら」という気持ちが最大の障害になる
60代 いちばん自由に使える 時間と、積み上げてきた視点 体力を使う働き方が合わなくなる。書く仕事は相性がいい

「もう遅い」と感じたときに思い出してほしいのは、年齢が上がるほど不利になるのは「受け取る英語」だけだということです。単語の暗記スピードは若いほうが速い。それは事実です。

でも「出す英語」は逆です。書く材料は、生きてきた年数のぶんだけ増えている。20代には書けないものが書けます。

ここまで来ると、やり直しは「終わる」

英語のやり直しには、実はゴールがあります。

それは、TOEICの点数でも、ペラペラになることでもありません。英語を出す場所を、自分が持っている状態です。

出す場所があると、勉強は勝手に続きます。書くために調べる。伝えるために言い換えを探す。読まれたから次を書く。この循環に入った人は、「続ける方法」を探さなくなります。探す必要がなくなるからです。

逆に、出す場所がないままだと、どれだけ入れても手応えが出ません。ここが、何度やり直しても同じところで止まってしまう本当の理由です。

よくある質問

中学英語もあやしいのですが、そこからでも間に合いますか

間に合います。むしろ、そこから始めるのが正しい順番です。あやしいまま先に進むと、必ず途中で戻ることになります。1か月目に全部並べ直せば済む話です。

1日どのくらい必要ですか

毎日20〜30分で進みます。週末にまとめて3時間やるより、平日に20分ずつのほうが定着します。ただし、書く週は1本に1〜2時間かかると考えてください。

話せるようにはなりますか

この順番は「書く」を軸にしたものなので、話す訓練そのものは入っていません。ただ、書ける人は話せるようになるのが速い。言いたいことを組み立てる作業を、すでに何十回もやっているからです。逆の順(話してから書く)は、あまりうまくいきません。

独学でできますか

1か月目から3か月目までは、独学で十分に進みます。市販の中学英文法の参考書1冊と、PREPの型があれば足ります。

難しくなるのは4か月目以降です。自分の英語のどこが不自然なのかは、自分では判断できない。ここだけは、読んでくれる人がいるかどうかで進み方が変わります。

まとめ

  • やり直しが続かないのは意志ではなく、順番の問題
  • 教材より先に、「受け取る英語」か「出す英語」かを決める
  • TOEIC・英会話・洋書は悪くないが、1歩目に置くと止まりやすい
  • 順番は、中学英語の並べ直し → 型(PREP) → 起承転結 → AIの使い方 → 材料集め → 公開
  • 年齢で不利になるのは「受け取る英語」だけ。「出す英語」は年齢が味方になる
  • やり直しのゴールは、点数ではなく英語を出す場所を持つこと

「何から始めればいいかわからない」の答えは、教材の名前ではありません。最初に決めるのは、6か月後に自分が何を持っていたいかです。

それが決まれば、順番は自動的に決まります。

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