TOEICが続かない本当の理由|英語を活かしきれていないと感じている人へ

2026.05.15
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本棚に、途中まで進んだTOEICの教材が並んでいる。公式問題集。単語帳。文法の参考書。買ったときは、今度こそやろうと思っていた。最初の3日は開いた。1週間で間があいた。気づけば、背表紙だけが見えている。

そして毎回、同じところに戻ってきます。

「また続かなかった。やっぱり私には無理なのかも」

先に、2つ書いておきます。

ひとつ。続かなかったのは、意志が弱いからではありません。

もうひとつ。「続かない人ほど、実は別の才能がある」という話でもありません。そういう慰め方をする記事はよくありますが、読んでいる本人が一番、それが慰めだと気づいています。

この記事で書くのは、もっと手前の話です。そもそも、何のためにTOEICを始めたのか。そこを整理すると、次にどうするかも見えてきます。

TOEICを始める理由は、だいたい2つ

その1:会社で必要だから

昇進の条件になっている。異動や海外案件に点数が要る。会社が受験料を出してくれる。

この場合、TOEICが正解です。代わりになるものがありません。目標点も、期限も、外から決まっている。迷う余地がないぶん、進みやすい。

その2:英語をやってきた証がほしいから

会社に言われたわけではない。誰かに求められたわけでもない。

ただ、英語をやってきた時間が長い。学生時代にやった。社会人になってからも英会話に通った。それなのに、手元に何も残っていない。

「私、英語やってるんです」と言うときに、何か添えられるものがほしい。数字なら、はっきりしている。だからTOEICを申し込む。

そして、この人たちは意志が弱いわけではありません。むしろ逆で、誰にも言われていないのに、自分の意志だけで何年も英語を続けてきた人たちです。

点数は、ちゃんと証になります

ここは、はっきり書いておきます。

800点、900点を取れば、それは間違いなく証です。本人の満足も大きい。人に言えるし、言われた側も素直にすごいと思う。何年もかけて取った人が誇るのは、当然のことです。

しかも、実利があります。求人票に「TOEIC800点以上」と条件が書かれた仕事は、いくらでもあります。海外案件のある部署、外資系の事務職、海外営業。点数で扉が開く世界は、確かに存在します。

次のような人には、TOEIC以外の選択肢を探す理由がありません。

  • 会社で点数が要る人——昇進・異動・手当の条件になっているなら、迷う必要がありません
  • 転職を考えている人——書類選考の段階では、点数が唯一の共通言語になります
  • 高得点を狙える人——800点を目指せるところにいるなら、そのまま進むのが一番早い

数字のゴールは、自分で決めるもの

500点が580点になれば、次は600点。600点になれば、次は700点。

そうやって進んでいる人は、たくさんいます。この進み方は、正しいです。

途中の伸びにも意味があります。580点のときのほうが、500点だった頃より確実に読めるようになっている。数字が動いているということは、力がついているということです。

どこをゴールにするかも、自分で決めることです。600点で十分な人もいれば、900点まで行きたい人もいる。他人が決めることではありません。

だから、点数を目標に進んでいる人は、そのまま進めばいい。この記事は、その進み方を否定するものではありません。

それでも残る、「活かしきれていない」という感覚

ただ、点数が上がっても消えない感覚があります。

「英語、やってきたはずなのに、活かしきれていないな」

これは、点数の高さとは関係なく起こります。600点の人も言いますし、800点を持っている人も言います。

英語を「持っている」状態と、「使っている」状態は、別のものだからです。

点数は、持っていることの証明です。とても正確な証明で、それ自体に価値がある。でも、「その英語で何をしたか」には答えません。そこは、別のところで作るしかない。

教材が積読になるのも、たいていこの感覚が関わっています。教材が悪いわけでも、意志が弱いわけでもなく、「これを続けた先に何があるのか」が自分の中でぼんやりしているとき、手が止まりやすい。

逆に言えば、その先がはっきりしている人は続きます。会社で必要な人が続くのも、そこが見えているからです。

積んだ教材は、捨てなくていい

ここからは実用的な話です。

本棚の教材を処分する必要はありません。ただ、「1ページ目からやり直す」だけは、あまりうまくいきません。3回目の1ページ目に、新しい発見が少ないからです。

使い方を変えると、同じ本が急に役に立ち始めます。

教材 これまでの使い方 もうひとつの使い方
単語帳 最初から順に覚える 引く。書いていて出てこなかった単語を、あとから索引で探す
文法書 1章ずつ進める 調べる。「この言い方で合っているか」を確認するときだけ開く
公式問題集 解いて答え合わせ 読む。長文パートを、問題を解かずに素材として読む

共通しているのは、先に何かをやってから、教材に戻るという順番です。

覚えてから使うのではなく、使ってから覚える。この順番だと、覚える対象が「自分が実際に必要だったもの」に絞られます。だから残ります。

単語帳で apologize を覚えるのは難しい。でも、「日本人はなぜすぐ謝るのか」を英語で書こうとして調べた apologize は、忘れません。

もうひとつの選択肢として、書くという方法があります

「活かしきれていない」という感覚が残っている人に向けて、選択肢をひとつ書いておきます。

英語で何かを書いて、外に出すという方法です。

日本で暮らしている自分の視点を、英語で書いて、海外の読者に届ける。この書き手のことを、Write Up Lab ではグローバルエッセイストと呼んでいます。翻訳でも、通訳でも、英語講師でもない仕事です。

点数と比べて優れている、という話ではありません。手に入るものの種類が違うだけです。

TOEICのスコア 英語で書いた文章
ゴール 自分で決める(600点、800点…) 自分で決める(1本、10本…)
手に入るもの 数字。求人の条件を満たせる 文章そのもの。読んでもらえる
積み上がり方 次の受験日に、まとめて動く 1本書き上げるたびに、1本増える
反応 返らない コメントや反応が返ってくる
向いている場面 会社や転職で、点数が要るとき 英語で何かを届けたいとき

両方やっている人もいます。どちらかを選ばなければいけないものではありません。

ただ、「活かしきれていない」という感覚は、点数を上げても埋まりにくい。そこを埋めるのは、たいてい「誰かに届いた」という経験のほうです。

海外の読者から “I never knew this about Japan.”(日本にこんなことがあるなんて知らなかった)と返ってくる。それは、点数では起きないことです。

ただし、書くほうが向いているとは限りません

ここを飛ばすと、この記事は勧誘になってしまうので、正直に書きます。

TOEICが続かなかった人が書き始めれば続く、というわけではありません。

書くことも、同じように止まる人がいます。1本目を書き上げて、2本目が出てこないまま終わる。よくあることです。

分かれ目は「伝えたいことを持っているかどうか」ではありません。読む相手を、具体的に思い浮かべられるかどうかです。

「誰かに読まれたい」だと、たいてい続きません。相手がぼんやりしていると、書く内容も決まらないからです。

「日本に来たことがなくて、日本の暮らしに興味がある人」くらいまで絞れると、書けるようになります。何を説明すべきで、何を省いていいかが決まるからです。

逆に言うと、ここさえ決まれば、英語力が高くなくても書けます。文法の正確さより、相手が決まっていることのほうが効きます。

まとめ

  • 教材が積読になるのは、意志の問題ではありません
  • 点数はちゃんと証になります。800点あれば求人の扉も開く。目指せる人は、そのまま進むのが一番早い
  • 500→580→600と進むのは、ちゃんと機能している進み方。どこをゴールにするかは自分で決めること
  • ただ、「活かしきれていない」という感覚は、点数が上がっても消えないことがある。800点の人も言います
  • 積んだ教材は捨てなくていい。覚えるためではなく、引くために使う
  • 選択肢のひとつとして、書いて外に出す(グローバルエッセイスト)という方法がある。優劣ではなく、手に入るものの種類が違う
  • ただし、書けば必ず続くわけでもない。決め手は「読む相手を具体的に思い浮かべられるか」

本棚の教材は、失敗の記録ではありません。何年も英語を諦めていない人だけが、あの本を買います。

英語で書いたものを外に出すという方法については、グローバルエッセイストとは|学んだ英語を活かして、世界に届ける仕事でまとめています。

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