「英語を仕事にする」=「日本人に英語を教える」ではない

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英語を仕事にしたい。

そう思ったとき、ほとんどの人が向かう方向があります。「日本人に英語を教える」です。英会話講師、子ども英語教室、家庭教師。需要があるし、求人も多い。一番わかりやすい「英語の仕事」。

でも、これ、本当に大変です。

やったことがある人ならわかると思いますが、英語ができない人に英語を教えるって、ものすごくエネルギーがいる。「なぜここにaがつくのか」を説明するには、英語の知識だけじゃなくて、教えるスキルが別に必要になる。しかも相手は基礎からやり直したい人が多いから、文法の説明も発音の指導も全部やらなきゃいけない。

そのうえ、この市場は競合だらけ。ネイティブ講師、留学帰りの若い先生、大手スクール。ここに40代50代から飛び込んで勝てるかというと、相当しんどい。

正直、おすすめしません。

じゃあインバウンドは?

「日本人向けがダメなら、外国人向けは?」と考える人もいます。最近はインバウンドが増えてるし、観光ガイドや通訳は確かに需要がある。

実際、定年してから通訳ガイドを始めた人もいます。日本人に教えるより楽な部分はある。外国人は文法の間違いをいちいち気にしないし、「日本のこと教えて」というスタンスで来てくれるから。

でも、ここにも限界があって。

相手は「日本に来た外国人」なんですよね。つまり、物理的に目の前にいる人しか相手にできない。観光シーズンに偏るし、コロナみたいなことが起きたらゼロになる。仕事を安定して見つけるのが意外と大変なんです。

目を向けるべきは「日本に来たことがない人」

ここで発想を変えてみてほしいんです。

日本人に教える → 相手は日本にいる日本人。競合が多い。

インバウンド → 相手は日本に来た外国人。数が限られる。

じゃあ、「日本に来たことがない外国人」は?

世界には、日本に興味があるけど来たことがない人が何億人もいます。日本の食文化を知りたい、日本の暮らしに興味がある、日本の働き方が不思議。でも、英語で書かれた「日本人目線の情報」がほとんどない。

この人たちに向けて、あなたが知っている日本のことを英語で伝える。

これなら数の制限がない。世界中どこにいる人にも届く。しかも自宅で、自分のペースでできる。

「え、海外向けのほうが英語力いるんじゃないの?」

逆です。

日本人に英語を教えるときって、先生が間違えたら一発アウトなんですよ。生徒は「正しい英語」を習いに来てるから、先生の文法ミスは信頼に直結する。だから完璧に近い英語力が必要。

でも、海外の人に日本のことを伝えるときは、相手が求めてるのは「正しい英語」じゃない。「日本のリアルな話」なんです。

コンビニのおにぎりの開け方。電車で誰も電話しない理由。なぜ日本人はお弁当に3色入れるのか。こういう話を、あなたの言葉で伝えてくれればいい。文法が多少崩れてたって、海外の人は気にしません。中身が面白ければ読む。

つまり、「英語力そのもの」で勝負しなくていい。「何を知っているか」で勝負できる。

しかも、こっちのほうが英語力が伸びる

これ、ちょっと意外かもしれないんですが。

日本人に英語を教えているとき、困ったら日本語で補足できちゃうんですよね。「ここ、英語だとこういう意味なんだけど、日本語で言うとこういう感じ」って。英語だけで乗り切る必要がない。

海外の人に向けて書くときは、英語しかない。「この気持ちをどう英語で表現しよう」「この日本独特の概念、英語にどう訳せばいいんだろう」って、真剣に格闘する。この格闘が、一番英語力を伸ばしてくれるんです。

英語を仕事にしたい。英語力も上げたい。この両方を同時に叶えるなら、海外向けに英語で書くのが一番効率いい。

具体的に、何をどう書くのか

「海外向けに書くって、何を?」

あなたが毎日見ている日本の日常を、英語で書くんです。

たとえば、日本のドラッグストアに並んでいる商品のこと。小学生が一人で通学していること。居酒屋のお通しの仕組み。ゴミの分別が異常に細かいこと。どれも、あなたにとっては「普通」でしょう? でも海外の人にとっては「なぜ?」「どうやって?」の連続なんです。

形式としては「コラム」がおすすめです。ニュース記事みたいに客観的な情報を並べるんじゃなくて、「私はこう思う」「私の経験ではこうだった」という一人称の文章。

コラムのいいところは、正解がないこと。あなたの目で見た日本、あなたの言葉で語る日常。それがそのまま価値になる。そして、40代50代が書くコラムは、20代には絶対に出せない厚みがある。仕事のこと、家庭のこと、年齢を重ねることへの向き合い方。この経験の重みが、文章に説得力を与えてくれます。

英語を仕事にする道は、一本じゃない

「英語を仕事にする」と聞いて、日本人に教える方向しか見えていなかった人は、ちょっと視野を広げてみてください。

海外に目を向けた瞬間、競合はほぼいなくなる。完璧な英語も必要なくなる。あなたの日常がそのままコンテンツになる。

そして何より、やっていて楽しい。自分が書いた記事を海外の誰かが読んで、「面白い」と言ってくれる。「日本ってそうなんだ」と驚いてくれる。この感覚は、教室で文法を教えているだけでは味わえないものです。

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