英語エッセイの書き方|初心者向け完全ガイド

2026.04.16
Columns

英語で何か書いてみたい、とずっと思っていた。

でも、いざパソコンの前に座ると、最初の1文が出てこない。

「間違ってたらどうしよう」「こんな内容でいいのかな」「そもそも何を書けば」——そうやって考えているうちに、また別の日に先送りにしてしまう。

英語から離れていた時間が長いほど、そのハードルは高く感じます。

ただ、手が止まる原因は英語力ではありません。型を知らないだけです。

英語エッセイの構造はシンプルで、テーマは探さなくていい。すでに知っていることの中に、書けるものがあります。この記事では、最初の1本を書き上げるまでの手順を、実際の作例つきで順番に説明します。

英語エッセイとは何か。翻訳とはまったく違う

英語エッセイとは、自分の言葉で、自分の視点から書いた文章のことです。(「英語コラム」と呼ばれることもあります。同じものだと考えてください)

よく混同されるのが翻訳との違いです。

翻訳 英語エッセイ
扱うもの 誰かが書いたもの 自分が見たこと・感じたこと
正解 ある ない
評価されるもの 正確さ 視点の面白さ
必要なもの 専門知識と語彙 伝えたい中身と型

文字数も形式もテーマも自由です。唯一の条件は「書いた人の視点があること」。これだけです。

何を書けばいいのか

テーマに困る人の多くは、「特別なことを書かなければ」と思いすぎています。

英語エッセイに、大それたテーマはいりません。自分の「当たり前」を書けばいい。

外国人の友人に聞かれたら、30分は語れる話は何か。そこが出発点です。

  • 近所のスーパーで売っている豆腐の種類の多さ
  • 学校の運動会で親が本気になる理由
  • コンビニのおにぎりの海苔が、なぜ別になっているのか
  • 旅先のホテルで感じた、日本との違い

自分にとっての当たり前が、海外の読者には「知りたかったこと」になっています。ガイドブックには載っていない生活者としての目線を、外の人はとても読みたがっている。

専門家である必要はありません。むしろ、生活者の目線が一番強い。

まず覚える型:英語は、結論から書く

日本語の作文の癖のまま書くと、英語では何が言いたいのか伝わりません。ここでつまずく人がとても多い。

英語の文章にはPREP法という基本の型があります。

P Point(結論) 言いたいことを最初に置く
R Reason(理由) なぜそう言えるのか
E Example(具体例) 実際にあったこと
P Point(結論) もう一度、言いたいことを置く

日本語だと「起承転結」で、結論は最後に来ます。英語の読者は、そこまで待ってくれません。先に結論を言われないと、何の話か分からないまま読むことになるからです。

順番を入れ替えるだけで、英語力が同じままでも「伝わる文章」に変わります。型は、才能の代わりになります。

次の型:英語版の起承転結

PREP法だけだと、論理は通っても心が動きません。エッセイには、もう一つの型が要ります。

日本語で慣れ親しんだ起承転結は、英語エッセイでも使えます。ただし順番が変わります。

日本語:起 → 承 → 転 → 結
英語 :起 → 結 → 承 → 転

最初にシーンを描いて引き込み、すぐに言いたいことを宣言する。そのあとで背景やエピソードを展開して、最後に読者の視点をひっくり返す「転」を置く。

日本語で書き慣れている人ほど、最初はこの順番に違和感を覚えます。でも英語の読者にとっては、これが一番読みやすい形です。

作例:お弁当をテーマに、1本組み立ててみる

型の話だけでは分かりにくいので、実際に1本組み立ててみます。テーマは「日本のお弁当」。特別な取材も専門知識も要らない、身近な題材です。

① 起:シーンを描く

読者は冒頭の数文で「読むかどうか」を決めます。だから、最初から定義や説明を始めない。まずシーンを描く。

Every morning, I open my daughter’s lunchbox to pack her lunch. Three colors. That’s my unspoken rule—one I never learned anywhere, but somehow always follow.

(毎朝、娘のお弁当箱を開けて詰める。3色は入れる。どこで習ったわけでもないのに、いつもそうしている)

難しい単語は一つも使っていません。でも「なぜ3色?」「誰が決めたの?」と思わせる力があります。

ポイントは、自分が一番好きなエピソードから書き始めること。冒頭から理屈を並べようとするから止まります。「まずシーンを描く」と決めると、するっと書き出せます。

② 結:言いたいことを先に宣言する

引き込んだら、次に「この文章で何を伝えたいのか」を言います。1〜2文で十分です。

My daughter never says thank you for the lunchbox. But she always finishes it. Every last grain of rice. I did the same when I was her age—if it was good, you just ate it all. That was the only review that mattered. When I open her empty lunchbox at the end of the day, I do a small fist pump. Every time.

(娘はお弁当にお礼を言わない。でも毎回、空にして帰ってくる。米粒ひとつ残さずに。自分も子どもの頃そうだった。美味しければ、全部食べる。それが唯一の感想だった。空になった箱を開けるたび、小さくガッツポーズをしてしまう)

読者はここで「ああ、こういう話か」と分かります。分かると、安心して続きを読んでもらえます。

③ 承:中身を広げる

話の中身は、自分が「面白い」と思う角度から広げていくだけです。

一つの事実に対して、こう問いかけてみてください。

  • なぜそうなっているのか
  • 海外と何が違うのか
  • それをどう感じているのか
  • これを聞いた外国人は、どう反応するか

お弁当の「3色ルール」だけで、「栄養バランスへの意識」「見た目を整える美意識」「作る側の愛情表現」「外国のお弁当との比較」まで広がります。

Red is tomato or carrot. Green is broccoli or edamame. Yellow is tamagoyaki. Nobody wrote this rule down anywhere. It’s just something Japanese mothers know. When I described this to a friend overseas, she asked if there was a recipe. There isn’t. It’s a feeling, passed down without words.

(赤はトマトかにんじん。緑はブロッコリーか枝豆。黄色は卵焼き。どこにも書かれていないルール。日本の母親たちがただ知っているだけ。海外の友人に話したら、レシピがあるのかと聞かれた。ない。言葉にされないまま受け渡されてきた感覚だ)

ネタが尽きると感じるなら、問いが少ないだけです。事実は一つでいい。問いを変えると、中身は自然に厚くなります。

④ 転:読者の視点をひっくり返す

Tomorrow morning, when you pack a lunch—or someone packs one for you—notice the colors. There’s more in that box than food.

(明日の朝、誰かのために弁当を詰めるとき、あるいは誰かが詰めてくれた弁当を開けるとき、その色を見てほしい。あの箱の中には、食べ物以上のものが入っている)

日本語で考えた流れが、そのまま英語になっています。特別な構文も、難しい単語も使っていません。自分の経験を、自分の言葉で書くだけです。

締めは「まとめ」じゃなくていい

「以上、お弁当について紹介しました」で終わると、読んだあとに何も残りません。

エッセイの締めは、余韻を残すためにあります。3つのパターンを覚えておくと困りません。

パターン① 問いかけで終わる

What’s in your lunchbox today? And who put it there?

読者に考えさせる終わり方です。シンプルな問いほど、頭に残ります。

パターン② 小さな気づきで終わる

We call it a lunchbox. But maybe it’s just a letter, written in vegetables and rice.

「お弁当は手紙だったのかもしれない」という視点の転換を、最後の一文に込める。説明しない。ただ置いておく。読者が自分で意味を受け取ります。

パターン③ 行動を促して終わる

Next time you make a lunchbox, try adding one more color. See how it feels.

読んだあとに「やってみよう」と思わせる終わり方。余韻が、読者の日常に続いていきます。

どのパターンにも共通しているのは、説明で終わらないことです。最後の一文が、読者の頭の中で何かを動かす。それが締めの役割です。

1本の長さは、約530語

「英語で1本書く」と聞くと、途方もない量に感じます。

でも目安は約530語。日本語の原稿用紙にすると3枚弱です。上の作例も、この長さの中に収まる分量でした。

長く書く必要はありません。むしろ英語では、短く削られた文章のほうが読まれます。

英語の不安は、書きながら消えます

「英語が正しいかどうか不安」——これは、書く前に解決しなくていい問題です。

書いたあとでGrammarlyに貼れば、文法ミスは指摘してくれます。AIに「これ、自然ですか?」と聞けば、より自然な言い回しを教えてくれます。

大事なのは、使い方です。

ツールは「書かせるため」ではなく、「磨くため」に使う。

AIに日本語を放り込んで英訳させると、それはもう自分の文章ではなくなります。誰が書いても同じものが出てくる。

そうではなく、自分で書いた英語を直してもらう。そして直されたときに「なぜこの表現のほうが自然なのか」を一つずつ考える。そのたびに、英語が自分のものになっていきます。

教材の選び方や、独学の続け方については別の記事にまとめています。海外のエッセイの読み方、英語日記の使い方、手元に置くべき1冊など、具体的に書いてあります。

最初の1本について

最初の1本は、粗削りで当然です。

ここで多くの人が止まります。「もっといい文章が書けるはず」と思いながら、1文も完成しないまま終わる。

でも、完璧な未完成より、粗削りな完成のほうが価値があります。

書いて、出す。それだけが次を生みます。100点を目指して1本も出さない人より、80点で10本出した人のほうが、結果的に上達も速い。出すたびに反応が返ってくるからです。

手順をもう一度、短くまとめます。

  1. 30分語れるテーマを1つ選ぶ
  2. シーンを1文で描く
  3. 言いたいことを1〜2文で宣言する
  4. 「なぜ」「海外との違い」で中身を広げる
  5. 説明ではなく、余韻で締める
  6. GrammarlyとAIで磨く
  7. 出す

今日、最初の1文を書いてみてください。シーンを描くだけでいい。

それが、始まりです。

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