なぜ日本人は英語を書くのが苦手なのか|脳と言語の構造から考える

2026.04.25
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なぜ日本人は英語を書くのが苦手なのか|脳と言語の構造から考える

「英語が難しい」と感じるとき、多くの人は「自分の英語力が足りないから」と思います。

でも、本当にそうでしょうか。

日本語と英語は、言語学的に「隔絶した言語」と呼ばれるほど構造が異なります。単語を覚えれば話せるようになる、文法を覚えれば書けるようになる、という話ではない。そもそも、脳の使い方が根本から違う言語なんです。

「英語が難しい」のは、あなたの能力の問題ではありません。日本語と英語という、まったく異なる「脳のOS」の間で格闘しているからです。

長年英語を教えてきた現場で見ていると、この「なぜ難しいのか」を理解した瞬間に、英語への向き合い方が変わる生徒がいます。この記事では、その話をします。

「財布がなくなった」と「I lost my wallet」の違い

まず、一つの例から始めます。

財布をなくしたとき、日本語ではこう言います。「財布がなくなった」。

英語ではこう言います。「I lost my wallet.」

日本語の「財布がなくなった」は、財布が自然に消えていったような表現です。誰がなくしたのか、あえて言わない。言わなくてもわかるから。

英語の「I lost my wallet.」は、「私が」財布をなくした、と明確に言います。誰がやったのかを、最初に宣言する。

これは翻訳の違いではなく、ものごとの捉え方の違いです。

日本語は「状況」を描写する言語。英語は「誰が何をしたか」を描写する言語。この根本的な発想の違いが、日本人が英語で書くときに感じる「なんかしっくりこない」の正体です。

結論が最後に来る言語と、最初に来る言語

もう一つ、大きな違いがあります。

日本語は、結論が最後に来ます。「私は昨日、牛乳を買うためにスーパーに行きました」。何をしたのかは、文の最後を聞くまでわかりません。

英語は、結論が最初に来ます。「I went to the store to buy some milk yesterday.」最初の「I went」で、何をしたかがすでにわかります。

脳の処理の仕方が逆なんです。

日本語を話すとき、脳は「最後まで聞いてから判断する」という待ち構え方をしています。英語を話すとき、脳は「最初に核心をつかんで、後から肉付けする」という処理をしています。

だから英語で書こうとすると、日本語の癖が出ます。「えっと、昨日スーパーに行って、牛乳を買おうとして…」という順番で考えてしまう。でも英語は最初に「I went」と言わなければいけない。この順番の違いが、書くときの詰まりを生みます。

「言わなくてもわかる」と「全部言葉にする」

日本語と英語のもう一つの根本的な違いは、どこまで言葉にするかです。

日本語は「言わなくてもわかる」文化の言語です。主語を省略しても通じる。「今日、行く?」「うん、行く」。誰が行くのか言わなくても伝わります。

英語は「全部言葉にする」言語です。主語を省略することは文法的に許されません。「I」「You」「It」、必ず誰かが主語に立つ。背景を共有していない相手に伝わるように、言葉ですべてを明確にする必要があります。

日本語で育った脳は、言わなくてもわかることを前提に動いています。でも英語を書くときは、「相手は何も知らない」という前提で、全部言葉にしなければいけない。

これが、日本人が英語で書くと「くどくなる」か「省略しすぎて伝わらない」かのどちらかになりやすい理由です。

英語で書くときに意識すること3つ

では、この違いを知った上で、英語で書くときに何を意識すればいいのか。

① 最初に「誰が何をしたか」を書く

日本語の癖で、状況や背景から書き始めようとすることがあります。でも英語は「I」から始まる。まず主語と動詞を置く。それだけで、英語らしい文章になります。

「昨日、天気が良くて、散歩に行って、公園で友達に会った」ではなく、「I met my friend at the park yesterday.」と書く。主語を先に立てる癖をつけるだけで、英語の文章の見え方が変わります。

② 「それ」「あれ」を使わない

日本語では「それ、知ってる?」「あれ、どうなった?」と、指示語で済ませることが多い。でも英語ではすべてを具体的に言葉にします。

「It」が何を指すのか、「That」が何なのか、読んでいる人が脳内で補完しなくてもいいように書く。「くどい」と感じるくらい明確にするのが、英語では正解です。

③ 結論を先に書く

コラムでも日記でも、英語で書くときは「何が言いたいのか」を最初に書く。日本語の起承転結ではなく、「結論→理由→具体例」の順番で書く。

この順番に慣れると、英語で書くときの詰まりが大きく減ります。

難しいのはあなたのせいじゃない

日本語と英語は、脳の使い方が根本から違います。

結論の位置が逆。主語の扱いが逆。言語化の量が逆。

これだけ違う言語を、単語と文法を覚えるだけで使いこなせるようになるはずがない。英語が難しいのは、あなたの能力の問題ではなく、そもそも脳のOSが違う言語を扱っているからです。

でも逆に言うと、この違いを知っているだけで、英語で書くときの詰まりが減ります。「主語から書く」「全部言葉にする」「結論を先に書く」。この3つを意識するだけで、英語の文章は変わります。

長年英語を教えてきた現場で見ていると、この「なぜ難しいのか」を理解した人ほど、その後の上達が早い。難しさの原因がわかると、対処の仕方も見えてくるからです。

英語で書くことを、構造から学んでみたいという方は、Write Up Labの養成講座をのぞいてみてください。

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